増田達治 煤墨の世界

2014年07月

 私が生まれ育った平野にある真言宗のお寺「長寳寺」。去る5月18日(日)は、えんまさんの寺としても知られる「長寳寺」の閻魔さんの日でした。

 毎年この日は秘仏「十一面観音」(坂上田村麻呂の守護仏)と「えんま大王」の年に一度だけのご開扉があり、さらに本堂、大師堂の他、境内の至るところでさまざまな催しが行われます。

  これは入り口の山門。
長宝寺3996

 室町時代に書かれた「長寳寺縁起 よみがえり草紙」の口語訳冊子(伊藤資郎訳・平成25年3月25日改訂)中のお寺の由来によると、
 
 「当寺開基の慈心大姉は、坂上田村麻呂の娘で俗名を春子といい、もと桓武天皇の妃であった。延暦25年(806)桓武天皇崩御によって、春子は弘法大師に帰依して剃髪し、父坂上田村麻呂が大同年中(806~10)に創建した長寳寺の開基となったのである。縁起によると、当寺の本尊・十一面観音像は坂上田村麻呂の守護仏で春日(中世春日神社に属し、仏像や神像を作った技術者集団)作と伝わる。…中略…
 『平野郷町誌』によると、現在の本堂と庫裡は、天保年間(1830~44)第33代慈源大姉の代の再建という。」とあります。

 そもそもこのあたりは、蝦夷の平定で大功のあった征夷大将軍・坂上田村麻呂の子である坂上広野麻呂の領地、荘園であったことから、当初は「広野」と呼ばれ、後に訛って「平野」になったと言われています。
   この写真の中央が大師堂(元、田村堂)。
   この大師堂では毎年異なる展示や催しが企画されますが、今回は私が院主さんの依頼を受けて書作展を開催することになりました。
長宝寺・4000
 展覧会名は「増田達治書作展」。サブタイトルは、「真言の扉-空海の言葉を始めとして-」としました。
 
 昨年の個展では、先日ブログでも紹介した空海の言葉、「生まれ生まれ生まれ…」をはじめ、道元、白隠、良寛などの禅僧の言葉を作品にし発表しましたが、それらを含め、計23点を展示しました。

 これは魔法か神の手か!。何の造作もなく楽々とCD-ROMを作動させ、「極めて正常に動作していますよ。」、とM氏。

 ということはこのPC、“不良品ではない”、ということ…!?。 
 
 いやはやまぁ、何ともその通りで、このPCは特に問題なく動いており故障しているわけではない、ということらしいのです。

 この瞬間、私の脳裏を掠めたのが、あれだけ「あり得ない!」、「信じられない!」、「もう懲り懲りだ!」などと書き込み続けてきたこのブログのことでした。この数か月にわたるあの怒りと不信に満ち満ちたドタバタ劇は、私の全くの独り相撲だったということなのか…?。そしてそれを、私は一体どう収めたらいいのだろうか…!、と。

 PCについてよくご存じの方はもう察しがついているかもしれません。

 要するに今のPCは、CD-ROMを挿入しても自動的に読み込むようにはなっておらず、作動し、読み込むように操作する必要がある、とのことです。もちろん、自動的に読み込むよう自動再生(オートラン)にセットしておくこともできるということなのです。

 しかし、私は今までの経験から当然自動再生するものと思っていたし、一台目は確かに挿入しただけで読み込んでくれたし、二台目はweb販売店の担当者I氏に私が操作したことの一部始終を詳しく説明したところ、「確かにそれはおかしいですね!」、と言って初期不良を認め、返品、交換に応じたのです。

 そして三台目も全く同じ症状であることを伝えたら、担当者I氏は再び不具合を認め、「どうもこの機種には他にもいろいろと問題があるようです。」、とまで言い出すので、私はまさにこの三台続きの初期不良を全く疑ってはいなかったのでした。

 しかし、その一方で、返品期限がいよいよ迫った土壇場でM氏に会えるとわかった時、彼がこのPCに触れた途端にCD-ROMがヒョイと動き出す、という光景がふと私の目の前をよぎったのも事実です。そんなこともあり得ないことではない…、と。

 M氏は私のPCを見る前に、すでに考えられるさまざまな機械の状態やその理由等を診断し、いくつかの解決策を想定していたようです。さすがプロです!

 でも、今思えば、こんなことになるのだったらもっと早くにM氏に相談しておけば良かった、ということになりますが、当然、私は一台目の交換で、わざわざM氏の手を煩わせご迷惑をおかけすることなく、すぐに解決するものと思っていたのでした。

 さて、返品や交換の理由がなくなった私は、不安を完全には拭い切れないものの、このPCを使い続けることにし、6/25、担当のI氏にその旨を伝えました。

 何だか何ともすっきりしないのですが、恥ずかしながらとりあえずこれにて一件落着、ということでしょうか。それにしても私のPCに対する無知未熟も含め、まさに「踏んだり蹴ったり」の半年でした。
 
 そして私、実は昨年の個展で「踏んだり蹴ったり」という作品を発表していたのです。しかも2点!。

 ようやく、画像を掲載することができるようになったので、それを紹介しておきます。
⑭個展33・3627
 「作品33」(328×240.5)の「摩訶芬陀利華陀利」で、「摩訶、踏んだり蹴ったり!」と読みます。私の勝手な造語です。
 摩訶は梵語の音訳で、すぐれる、多い、大きいの三つの意味があり、摩訶芬陀利華(まかふんだりげ)は、大きな白蓮華。天竺の阿耨達池(あのくだつち)に生え、普通にはないところから、稀有な花の意があります。

 私は、ちょっとした洒落のつもりでこの摩訶芬陀利華に“陀利”を加え、「摩訶、踏んだり蹴ったり!」と読むことにし、作品にしたのです。

 次の作品も同じく「摩訶芬陀利華陀利」(作品34・328.6×240.8)で、二点とも大変気楽に書いたまさに一発書きの作品です。
⑭個展34・3629
 さて、PC事情によって、作品紹介ができないためにつなぎとして書き続けてきた、読み手によってはどうでもいいような私のPC話はこれにて完結です(おそらく…)。次回からはまた「書」について、と私の作品紹介を中心に書いていくつもりです。
 
 そして最後に、大変お世話になったM氏とKさんのHPとブログを、感謝の意を込めて紹介しておきます。

 M氏とは、クリエイティブカンパニーashiby(アシビー)の代表社員、宮山 学さん。
  会社のHPは、http://ashiby.com

  Kさんのブログは、曼荼羅ギャラリー。http://mandara.publog.jp/

このページのトップヘ