増田達治 煤墨の世界

2015年09月

  ここからは会場一番奥の最も広い展示スペースの画像です。これは第5番目の壁面ということになります。
H27リーガ展・4968                           左端の作品は「白日依山尽(王之渙詩より)」(83.5×495)。
  自分で言うのもなんですが、とてもモダンでおしゃれな作品です。
 
  きっと今頃は、Kさん夫妻の豪華な洋室の真新しい壁面に飾られて、より一層素敵な空間を演出していることと思います。
H27リーガ展25・2297

  その右の大きな「園」(881×602)は大胆な造形の草書体で、洋紙を使って煤墨の多様な表情、表現力を駆使した迫力のある作品。
⑦・リーガ等・5182
 ともにとても評判の良かった作品です。

 そして第6番目の壁面。
 お気付きでしょうか?。一番左に見える「日月山河鳥獣花樹人間」(171×506.5)は、このブログのタイトル画像に使用している作品です。
H27リーガ展・4969

 ギャラリーに入ってすぐ左の展示壁面を第一とすると、これは第四番目の壁面ということになります。
H27リーガ展・4960

 前回、前々回の記事中にも画像の右端に映っていたこの赤いフレームの作品は、「摩訶芬陀利華陀利」(328.6×240.8)。
H27リーガ展・3629
 魔訶芬陀利華(まかふんだりげ)は梵語から来ており、広辞苑によると「大きな白蓮華。天竺の阿耨達池(あのくだつち)に生え、普通にはないところから、稀有な花の意。」とあります。私はこれにさらに“陀利”を付け加え、『まかふんだりけったり』、と読むことにしました。
 
 「ホンマにもう、踏んだり蹴ったりや!!」ってことです。

 ギャラリー入口の真正面からいきなり目に飛び込んでくる「劇的」とともに、もう一つ、入口手前から見る角度によってはより多くの人の目に入るのが、赤いフレームの「魔訶芬陀利華陀利」を置いたこの位置です。
   
 その右に置いたのが、草書体で書いた「母」(481×333)。
H27リーガ展・12
 この優しくも逞しい、慈愛に満ちた「母」の眼差しを思わせるような筆文字の造形と、極端なまでに大きく広がる余白。その黒白のせめぎ合い、緊張感が多くの方々に強い印象を与えました。

  私は展示作業の当初、インパクトの強いこの作品を第四壁面の左端に置いていたのでした。

 しかし、展示については決して口出しをされないギャラリースタッフのKさんが、ここでの経験上、作品そのものとは別に、この位置にはフレームの鮮やかな赤が断然目を引き、お客様が誘い込まれるでしょう…と。

 黒白の中の深紅は確かに強烈なインパクトを与え、人の視線と興味を惹きつけます。私はその提案を素直に受け入れたのでした。

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